朝の通勤電車で、最後まで怒りと恐さを演じきれなかった人がいたので、紹介したい。
彼は突如として現れた。
いきなり大声を出して
うおおおおおお、神田(誰だよ)ぶっ殺す!!
走れよ!!ぶっ殺す!
最初の私の感情はうるさい、でした。
周りの乗客は一度何だ?と振り返る者はいても、相手にしてはいけないという本能によって存在しないものとして扱っていました。
その後、ひたすら思い出したかのように、ふしゅふしゅ言いながら突然、ぶっ殺すを連呼。
突然大声を出すのでびびる。
ここまでであれば、朝の日常を不快にさせた飛んだ迷惑野郎で終わっていたんです。
しかし、その彼はあろうことか、ニュアンスを変えてきたのです。
ぶっ壊す!
そして
ぶっ殺す!ぶっ壊すうぅ!
コンビネーションであります。
そして、そのニュアンスが偉く気に入ってしまったのか、約5駅分の区間で
ぶっ殺すもしくはぶっ壊すを連呼。
そして神田、何をした?
そう思っていたところ、ついに彼は油断してしまったんです。
ふしゅ、ふしゅ…。ぶっ殺すおおおおお!ぶっ壊すう!
ぶっ殺すぶっ壊すぶっ殺すぶっ壊す。
ぶっかわす!!
申し訳ない。
涙が出るほど笑いをこらえてました。
正直、一般的に彼ほどの怒りが爆発してしまうと、話のつけようがないんですよね。
ただ、彼は落としどころをわきまえてました。
中間をとったのです。
ぶっかわす!!
殺すでもなければ壊しもしない。
かわしたのです。
それで良いんですよ。
怒った人間を冷静にいなす程の精神力をお持ちの方は、ここ最近顕著に少なくなっております。
誤爆したことによって彼は、自らをいなした。
それにしても尋常ではない怨念に近い怒りでした。